ワンストップサービスの必要条件が不動産業界を変える

ただし、どの不動産会社でもこのワンストップサービスを提供できるのかと言えば、そういうわけでもありません。
顧客や仕事そのものへの向き合い方を徹底して共有し、同時に風通しよくつながる社風が土台になければ、このワンストップサービスは成立しません。
なぜなら、仮に同じ社内であっても部署ごとに確執があれば、それは間違いなく顧客のメリットにはならないからです。
例えばワンストップサービスを利用して中古物件を購入し、リフォームを希望している顧客がいたとします。
その顧客が仮に2000万円の予算で考えていた場合、部署ごとに確執のある会社では、仲介の部署とリフォームの部署が、その2000万円の予算を奪い合う、ということがしばしば見受けられます。
仲介側からすれば、できるだけ価格の高い物件を購入してもらい、物件に予算を多くかけてくれた方が売上は伸びますが、リフォーム側からすれば購入する物件の価格自体は安く抑え、リフォームにより多くの予算をかけてくれた方が売上は伸びます。
あとは何が起きるかと言えば、顧客を一切無視した部署同士の争いです。こんなワンストップサービスが顧客に満足してもらえるかどうか、結果は火を見るより明らかです。
ワンストップサービスを成立させるためには、その顧客に関わるすべての従業員が「顧客が期待している以上のサービスを提供すること」を常に意識し、同じベクトルを向いていなければなりません。

「何を買うか」はもちろん、「どのように買ってもらうか、どのように住んでもらうか」まで責任をもつという考え・姿勢が重要です。
このような考えをもつ不動産会社が増えてくれば、不動産業界のイメージは間違いなく変わっていくことでしょう。
今後の不動産業界の動向についてもっと知りたい方は、日本の不動産流通の未来を読むと良いでしょう。